本部館長 沖縄県指定無形文化財保持者 上原武信先生の記事が掲載されていたのでご紹介。
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--以下引用
「初心に返ること忘れず、上原武信先生」
1948年から、父である上地流の大家上原三郎先生に師事した上原武信先生は、2013年、沖縄県指定無形文化財保持者に認定された。 84歳になった現在の心境について伺ったところ、初心を忘れずの気概、空手道を真摯に語った。
「昔は空手を喧嘩道具とみなす有識者もいたが、今は空手の奥に存在する心、技、体が合一する武術であるという認識に変わっている。上地流では、基本中の基本とされるサンチン型にそれを見ることができる。精神修行を第一とする空手には思想信条に関係なく皆平等の考えがある」と上原先生は述べる。
「各流派にはそれぞれの歴史に培われてきた伝統空手の型がある。それぞれの流派にも、属するそれぞれの会派の独自の個性で伝統型に微妙な違いはあるが、基本を逸脱しない限りは許容範囲内として容認している。競技空手の型のような派手さはないが、伝統空手には重厚美がある。それを大事に保存継承すべき責任があると考えている」と技を見せながら説明する上原先生。
これからの活動を尋ねると、「保持者となったことは大きな責任。次世代への指導を続けるのはもちろんのことだが、保持者の立場から空手界全体を支えたい。大先輩で保持者の友寄隆宏先生から学び、空手界の更なる発展に貢献できればと思います。例えば、流派連絡会のような仕組みは必要だと思う。そうすることによって、本当の空手が見えてくると思います。課題は色々ありますが、初心に返って私もできることに努めたい」と静かに語った。
談話中よく出てきた『初心に返る』という言葉。論理だけではなく、背中で教える上原先生は毎日268文字の般若心経を写経し続けて30数年になる。 目標の三千巻の達成は近い。「私にしてみれば、無の心を教えてくれる写経と空手は同じ。心の平安を保つ修行です」。正に初志貫徹だ。
(取材:那覇市小禄・2014年3月20日)